本人確認の仕組みを最初に確認する
マッチングアプリの本人確認には、大きく「登録必須型」と「任意提出型」の2種類がある。
登録必須型は、サービスへの登録時に公的身分証(運転免許証・マイナンバーカード等)の提出を義務付ける。なりすましや悪質業者が紛れ込みにくい設計で、利用者全員が年齢・実在確認を受けている。
筆者はまず一つだけ問う。安さや相手の魅力より先に、任意か、必須か、それだけを確かめる。疑ってかかるための問いではなく、安心して人を好きになるための下ごしらえだ。
任意提出型は、プロフィールに独身証明や年収証明を追加できるが、提出しない会員も多い。自分が証明を出しても、相手の情報は確認できないケースがある。ここでいう「任意」は独身証明・年収証明などの追加の証明を指す。年齢確認そのものは法律で事業者に義務付けられており、任意ではない。
アプリを選ぶ際は「どの段階で、何を確認するか」を公式サイトで確認する。たとえば with は「安心・安全にご利用いただくため公的証明書のご提出による本人確認が必須になります」と明記し、あわせて「24時間365日の監視体制」を掲げている。監視体制の中身がどこまで自動検知で、どこからが利用者の通報に頼っているのかは外からは分からないので、通報機能の使いやすさや対応の速さも判断材料にする。
「インターネット異性紹介事業」に該当するサービスは、事務所の所在地を管轄する都道府県公安委員会への届出が義務付けられ(同法第7条)、利用者が児童(18歳未満)でないことを事前に確認する義務も負います(同法第11条)。根拠法は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」です。各サービスも Omiai が「18歳未満の方はご利用いただけません。」と登録画面に明記するなど、18歳未満は利用できません。ただし、確認の方法・精度はサービスによって差があります。
サクラ・悪質業者の典型的な接触パターン
以下は、公的機関や消費者相談窓口が繰り返し注意喚起しているパターンをまとめたもの。1つ当てはまっても詐欺確定ではないが、複数重なる場合は慎重に行動する。
「LINE交換しませんか」「別のアプリで話しましょう」と早々に言ってくる。マッチングアプリ上の監視・通報機能から外れることを目的としている場合が多い。
写真が目立って良く、しかし自撮りや日常的な写真がほとんどない。警察庁は「翻訳アプリや生成AIを利用すれば、誰でも簡単に他人になりすますことができます」と注意喚起している。なお警察庁の統計では、SNS型ロマンス詐欺で被疑者が詐称した職業は投資家11.2%、会社員11.1%、会社役員7.0%の順で、特定の職業名だけを警戒しても意味が薄い(令和5年1月〜令和6年12月・3,784件)。
「もう少し話してから」「今月は仕事が忙しい」を繰り返す。長期的なやり取りを維持することを目的としており、会う意図がない。
警察庁は、詐欺師が仲良くなったあとに使う口実として「2人の将来のために」「投資でお金を増やそう」「会いたいから旅費を送って」「荷物を送るから手数料を払って」を挙げている。恋愛感情が深まった段階で切り出してくる手口が多い(ロマンス詐欺)。
マッチング後のメッセージで警戒するサイン
メッセージの内容そのものより、やり取りのパターンで判断する。以下のうち「不自然な日本語」は国民生活センターのチェックリストにも「相手の特徴」として挙がっている項目で、残りは公的機関が明示しているものではなく、実務上そう言われているものだと考えてほしい。
- 最初のメッセージから距離が近い(「もう会いたい」「大好き」が早い段階で来る)
- 相手への質問がほとんどなく、自分の話だけが続く
- 日本語が不自然・文体が一定しない(翻訳ソフト使用の可能性)
- 「この話は二人だけの秘密にして」と言う
- 深夜・早朝問わず即返信が続く
- 写真や音声・ビデオ通話を求めても毎回断られる
信頼関係を築いた後に金銭を要求する手口を「ロマンス詐欺」と呼びます。投資勧誘・贈り物の関税名目・緊急費用の立て替えなど、口実はさまざまです。恋愛感情が入った状態では判断が鈍りやすく、被害が深刻化しやすいため、金銭が絡む話が出た時点で一度立ち止まることを勧めます。
初回対面前に守る個人情報のルール
交際前に渡さないもの
- 自宅住所・最寄り駅:特定できる情報は慎重に
- 勤務先の名前・場所
- 口座情報・クレジットカード番号
- 家族の情報(名前・学校・職場)
ニックネームと大まかな仕事の種類程度であれば、初期のやり取りで共有しても問題は少ない。「送金するので口座を」「プレゼントを送るので住所を」といった金品絡みの要求は断る。
初回対面の場所
昼間・人が多い場所(カフェ・ショッピングモール内の飲食店等)が基本。夜間・人通りの少ない場所、相手の自宅・車内での初回対面は避ける。初回は自分で交通手段を確保して移動し、帰り道も同様にする。
早めに一歩引いて身を守ることは、臆病さの表れではない。相手を本気で信じるための余白を、あらかじめ残しておく作法だ。
- プロフィール写真の顔確認:ビデオ通話で本人かどうか確認できる
- 会う場所・時間を事前に信頼できる人へ共有しておく
- 初回デートの費用は自分で払えるものにする(おごりの見返りを求められるリスクを減らす)
- 違和感があれば断れる、その判断は正当
トラブル・被害が起きたときの相談先
詐欺的な勧誘・不当な料金請求・なりすましに遭ったと感じたら、まずアプリ内の「通報」機能を使う。それと並行して、以下の窓口に相談できる。被害が大きくなる前に早めに動くことを勧める。
※ 電話番号・窓口の情報は変更される場合があります。最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
安全なサービスを目的別に探す
本人確認・監視体制を基準に選んだ定番サービスを、目的・年代・真剣度で絞り込めます。
参考
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警察庁「インターネット異性紹介事業(出会い系サイト)の規制について」
https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/deai/ -
警察庁 SOS47「SNS型ロマンス詐欺」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/romance/ -
国民生活センター「『愛してるから投資して』っておかしくない!?—マッチングアプリ等で知り合った人に騙されないためのチェックリスト—」(2022年12月21日公表)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221221_1.html -
消費者庁 特定商取引法ガイド「注意喚起チラシ」(「恋愛系マッチングアプリを悪用した勧誘に注意!!」を掲載)
https://www.no-trouble.caa.go.jp/download/flyer.html -
国民生活センター「全国の消費生活センター等」(消費者ホットライン188)
https://www.kokusen.go.jp/map/index.html